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銀狼
第10章 討伐


「狼を野放しにするとは即ち…──苦しむ街の人々を見棄てるという事だ」


そんな事はできない。

その為に、我が命を危険に晒す覚悟もできている。



「──隊を止めて悪かった!今となっては日も折り返し…早くしなければ夜になると分が悪い。急いで捜索を続ける──セレナの来た道をたどれ!」



長官の掛け声に従い列は進む。

その向きをセレナが現れた方向に変え…何事もなかったかのように捜索を再開する。

猟犬がセレナの匂いを覚えたのか、地面に鼻を付けながら隊を先導し始めた。



──叫ぶ彼女の声は無視された。

制止の声に耳を貸す者はいなかった。



兵達にも…とっくに覚悟はできていたのだ。



それぞれの家で彼等の帰りを待っている

愛する者を守るために───。










───…




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