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銀狼
第11章 儚き運命

抱き合う二人の姿を茫然と眺める兵士達は、武器を持つ腕に何故か力が入らない。


「…セレナ、離れなさい」

「お父様…っ」


そんな中、アルフォード侯が落ち着いた口調で彼女を諭す。

そして彼は…その声を娘と抱き合うローに向けた。



「銀狼よ。娘が何を言おうと…我々人間はあなたを生かしておく訳にいかない」


「──…」



狼だけに非があるとは

人間だけに非があるとは、決して思わない。



「…それでも、狼が人を襲い、喰らう以上…許す事は断じてできないのだ」


「でもっ、お父様…!! 」


「──…此処にいる兵士達の中にも、妻子や親を彼等に殺された者が大勢いる」


「……!! 」



セレナの眉が、辛さを映して歪む。

黙って耳を傾けていたローは、唇を噛んだ彼女を見下ろして笑った。





....




「……ふっ」



ガシッ



「…きゃ…!? 」



セレナの左手をきつく握りしめ

突然の行動に怯んだ彼女の顔を見つめながら、ローは口を開け、其の牙を剥き出した。



「──ッ‥ぁ‥!! 」



ブスリと生々しい音が聞こえ

肌が突き破られる。



彼女の左手首に喰らい付いたローは、肉を噛み千切る前に牙を抜いた。



「‥ッッ‥ロー‥!? 」



深々と付けられた噛み痕から、痛みと共に血が湧き出る。



ローはそのままセレナの首を掴んだ。

そして、彼女の身体を引き剥がす。




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