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銀狼
第11章 儚き運命




───





仰向けに倒れた彼の上に折り重なるセレナ。



「…お願い…ッ!! …目を…開けて…!! 」


「…っ…」


「ロー!」



ドクドクと溢れ出す血を止めようと、セレナは両手で傷口を押さえる。


だが…彼女の小さな手におさまるような数の傷ではなかった。


足掻いたところで意味がない。

セレナの手首から流れる血が

彼の物と合わさりひとつになるだけ。




「…セレナ…」


「……ッ」



薄く開いた彼の瞼。



「無駄な事は、…やめ ろ」


「…そんなこと…っ…言わないで…──ッ」


「無駄だ…」


「…でも…っ」



言葉を詰まらせたセレナは、その代わりに大粒の涙をローの頬へと落としていく。




「…っ…ごめんなさい…!! 」



彼女にもわかっていた

もう無駄だということは──

もう…手遅れだということは。



「ごめんなさい…!! 」



だからこそ、早く言わなければいけない。

彼が聞いてくれる内に何かを言わなければ…。

焦る彼女が咄嗟に選んだ言葉、それは──謝罪の言葉だった。



「…許して…っ…許して…!! …わたし達を」



あなたから全てを奪った


森も、仲間も


命も……!!


全てを奪った


欲深いわたし達を……!!





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