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銀狼
第3章 銀狼

銀狼に見付かった瞬間、セレナは体重が軽くなり、周りの音がうつろになったような錯覚に陥る。

そんな彼女の目に、更に追い討ちをかけるように見えてきたのは…

崖に空いた穴々からギラリと光る対の目。

その凶暴な視線はあらゆる穴から次々に現れると、草むらに隠れるセレナ一身に注がれていた。



「…こ…、ここは…っ」


なんてこと…

わたしが来たのはよりによって、狼の巣窟。




「──…さてどうする?」


銀狼は狼達にではなくセレナに問い掛ける。



「今から必死に此の場から逃げ出してみるか…?
逃がす気はないがな」


「…っ…!! 」


「…それとも私に命乞いでもしてみるか」


「い…命乞い…!? 」




……フッ




「許す気もないがな……」




男の表情は今、まさに

獲物をいたぶる無慈悲な狼であった。





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