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銀狼
第6章 獣の愛


その時


「──?」


セレナが背を預ける大岩の、その陰からヒョコリ現れた頭。

それは一匹の焦げ茶の狼だった。



その狼はいささか小さめ…というより、まだまだ子供のようである。

だがセレナにとっては恐怖の対象であることにかわりはない。



「…っ…この狼…!! 」


グルル…


「…きゃ…ッ」


ゆっくりと近付いてきた仔狼に、セレナはたまらず持っていたパンをくるんだ布ごと投げつけてしまった。


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