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真衣先生・犯られる
第1章 1
ぼくは、イナカの、小さい小さい小学校の先生だった。
今ではもう無い、ずいぶん前に廃校になった小学校。
そこで起きた、ある出来事をこれから皆さんに紹介しよう。

今では、立派な犯罪となってしまうこの出来事。
でも、もう時効だろう。
ぼくが若かった頃なので、もうずいぶんと昔。「昭和」がまだ色濃く残っていた頃。
この話は、結局、これから物語に出てくる人以外には知れ渡ることなく終わった。
ぼくがここで語らなかったら、消え去っていく話。
その秘密を、これから皆さんと共有しよう。

ぼくが赴任した小学校は、いわゆる「へき地」と呼ばれる素晴らしい自然に囲まれた学校だった。児童も父母も、純朴で温かい人柄の教育環境。
異動して4年目だったぼくは、すっかりこの学校が気に入っていた。
へき地校での勤務年限は、その当時5年間だった。5年経ったら人事異動の対象者となって、他の学校へ転勤となる。
多くの教員はイナカのへき地校勤務をいやがる。
それはそうだ。都会の利便地が暮らしやすい。家庭を持つと、自分の家が欲しくなる。
そうして、都市部に持ち家を建てる人がほとんどだった。自分の子どもの教育のことを考えても、都市部に住む希望者が圧倒的に多いのだ。
そこで、独身の身軽な若手や、大学を卒業したばかりの初任者が、イナカのへき地校勤務を命じられる。
そうやって、ぼくも初めての勤務地がこの学校だった。
4年前に初めて先生となった時に、ここに赴任して来た。

そういう、人気が無いへき地の学校だったが、しかし、ぼくは、純朴な子ども達に囲まれて、この学校にずっと勤務し、この地域で暮らしていくのも悪くないな…と思っていた。
果てしなく広がる大地と大空を眺めながら、こんな世界の片隅にあるような場所で人知れず人生を過ごし、そのまま人生を終えることになろうとも、それはそれでぼくの一生だな、そう感じていた。それほど、この地域に魅了されていた。

静かで自然がいっぱいの環境。
都会のゴミゴミとした町並み、喧噪から別世界の自然。食べ物も美味しい。
何よりも、そこの住んでいる人たちがいい。

しかし、そんなところにも、悪いヤツらはいた。
一番寒い時期、そう2月。
雪に閉ざされた季節。その夜。暴風雪になろうとするその夜。その出来事は起こった。
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