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ポケットベル
第6章 ポケベルの向こう側
目を開ける。

自分の部屋だった。

四十五歳の。

机の上にスマートフォンがある。

テレビもある。

窓の外には、

現在の街並み。



真斗はしばらく動かなかった。

夢だったのか。

そう思った。



でも、、、



身体には、



まだ温もりが残っている気がした。



スマートフォンを見る。

何もない。

真斗は笑った。

そして、

ふとテレビをつけた。

数日前に見たドラマの続きが始まった。

出演者の名前が表示される。

そこには、

「白木佳奈」

という文字。

真斗は画面を見つめた。

あの加奈と同じ名前。

もちろん。

漢字は違う。

同じ人とは限らない。

いや、

きっと違う。

それでも、

真斗には分かった気がした。

あの時間は、

過去を変えるために与えられたものではなかった。

ずっと心の奥に残っていた。

「あの時、話せばよかった」

「あの時、伝えればよかった」

そんな小さな後悔を、

一度だけ、

終わらせるためだったのだ。





真斗はスマートフォンを置いた。

窓の外を見る。

夜の街に、

たくさんの明かりが灯っている。

二十九年前。

ポケベルの小さな文字だけで繋がっていた二人。

今は、

もう会えないかもしれない。

でも、

あの日の自分は、

確かに勇気を出した。

真斗は笑った。

「ありがとう。加奈」





そして、

今度は振り返らず、

現在の時間を歩き始めた。

ポケットの中には、

もちろん、、





ポケベルはなかった。
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