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不倫王の憂鬱
第4章 家庭忘却の女達
彼女、桜井陽子は仕事先で商品を陳列していた後ろ姿に惹かれて声をかけたところから始まった。

白い膝下から足首までが綺麗なラインの陽子は、彼よりも12歳下の既婚者。

胸元を拡げた開襟シャツから柔肌であろうきらびやかな谷間を豪快に強調していた。

陽子と暫く仕事の話をしながら彼は
”この女はかなり生活にくたびれているな”

そう感じた。

陽子の話は全てが愚痴でネガティブな言い回し。

明日への希望のような話が無い。

「落合さん、私ってダメな女なんです。」

「何で?」

「聞いて下さいよ、旦那が週末に釣りに出掛けたりするから一人で買い物したりして、そのせいか毎月カードの返済も厳しいし」

「ふーん、でもどこも同じような悩みは抱えてるぜ。君だけじゃないさ。」

「はい、分かってるんですけど、旦那に支払いとかの件も言えないし。」

「まあね、確かに離婚問題に発展しそうな…」

「それに、買い物に出たりするとナンパしてくる男性にお持ち帰りされたり…」

”おいおい、おいしい話じゃんかよ、鴨ネギな話かいな”

「へー、モテていいな、羨ましいよ」


「分かってるんです、身体だけが目的だって。でもなんか寂しい気持ちを紛らわす、そんな感じで。」

「別に抱かれたくなったら抱かれりゃいいじゃん、君を必要と認めてる男性がいっぱいいる証だよ」

「そうなるのかなぁ?だけど、凄く好きな人からはアプローチとかないんですよ、だからいつも後で反省を…」

”あたりめーだよ、ホイホイ付いてく尻軽に真剣になる男なんかいねーし”

「反省は二度も三度も繰り返さないから反省だしねー、反省するより常に主体的に磨いたら?」

「いつも友人にも言われます。」

段々と彼の中で薄曇りが拡大していくのを感じた。

”暫く調教して、世の中に還元するのも悪くないな。”


そう思う彼。
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