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コンプレックス
第1章 弟が父親になった
「兄貴、辞書貸して」
言うが早いか、ノックも無しにドアが開く。
そこから姿を現したイケメン、夏川琉[なつかわ りゅう]
普段は、妻の愛里咲と実家近くのマンションで2人暮らしの琉だが、今朝から母親に半ば強引に里帰りをさせられていた。
兄のものを借りに来た癖に、琉はドアに身体を凭れ、そこから動く気は無いらしい。
むしろ、黒く短い髪をサラリと揺らしながら首を傾げて、その切れ長な瞳を細めては兄に有無を言わせない視線を送っている。
「はぁー…」
溜息混じりに立ち上がり、兄は机から辞書を取る。
それを見た琉の形のいい薄い唇は、満足げに持ち上がった。
「ほら」
琉の所まで歩いて行って辞書を渡す優しい彼、夏川翔[なつかわ しょう]
琉より2歳年上の27歳。
その瞳は、どことなく琉に似ている。
だが、母親似の琉と父親似の翔。
顔立ちは似ている所もあるけれど、やはり違う。
髪色は、琉と同じナチュラルな黒色。
身長、体格ともに、それ程の差はない。
”琉くんの代わりに付き合って”
過去に女性から何度か言われた言葉。
琉とは決定的に性格が違う。
そのため、大抵
”琉くんとは全然違う。やっぱ無理”
そう言われて振られるのが常だった。
言うが早いか、ノックも無しにドアが開く。
そこから姿を現したイケメン、夏川琉[なつかわ りゅう]
普段は、妻の愛里咲と実家近くのマンションで2人暮らしの琉だが、今朝から母親に半ば強引に里帰りをさせられていた。
兄のものを借りに来た癖に、琉はドアに身体を凭れ、そこから動く気は無いらしい。
むしろ、黒く短い髪をサラリと揺らしながら首を傾げて、その切れ長な瞳を細めては兄に有無を言わせない視線を送っている。
「はぁー…」
溜息混じりに立ち上がり、兄は机から辞書を取る。
それを見た琉の形のいい薄い唇は、満足げに持ち上がった。
「ほら」
琉の所まで歩いて行って辞書を渡す優しい彼、夏川翔[なつかわ しょう]
琉より2歳年上の27歳。
その瞳は、どことなく琉に似ている。
だが、母親似の琉と父親似の翔。
顔立ちは似ている所もあるけれど、やはり違う。
髪色は、琉と同じナチュラルな黒色。
身長、体格ともに、それ程の差はない。
”琉くんの代わりに付き合って”
過去に女性から何度か言われた言葉。
琉とは決定的に性格が違う。
そのため、大抵
”琉くんとは全然違う。やっぱ無理”
そう言われて振られるのが常だった。