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コンプレックス
第1章 弟が父親になった
「きゃー、可愛いっ!」
「ちっちゃい〜」
新生児室の硝子前に、女性2人の歓声が上がる。
そのうちの1人が、
槙野 渚[まきの なぎさ]
翔の会社の事務員だ。
お互い顔と名前は知っていても話した事はなく、翔と琉が兄弟だと聞いて驚いていた。
「女の方が陽花で、男の方が陽向」
硝子越しに我が子を見つめる琉。
その優しい表情を、うっとりとした視線で渚が見つめていた。
「2人共、琉くん似で良かったね」
そう言って、睨むように目を細めて愛里咲を見る渚。
「ちょっと渚⁉︎ そりゃ、私もそう思うけど…」
少し膨れてそう言う愛里咲。
「そうだな。愛里咲に似なくて良かったな」
「琉ちゃんまで⁉︎ 酷い〜」
口端をニッと上げてそう言う琉。
琉を振り返り、眉を吊り上げる愛里咲。
そんな2人の様子を、渚は睨むように見ている。
(……琉の事が好きなんだ)
鈍感な翔にも気付くくらい分かりやすい渚の態度。
これから巻き起こる出来事を予感してか、
少しだけ、翔の心が騒いだ。
「ちっちゃい〜」
新生児室の硝子前に、女性2人の歓声が上がる。
そのうちの1人が、
槙野 渚[まきの なぎさ]
翔の会社の事務員だ。
お互い顔と名前は知っていても話した事はなく、翔と琉が兄弟だと聞いて驚いていた。
「女の方が陽花で、男の方が陽向」
硝子越しに我が子を見つめる琉。
その優しい表情を、うっとりとした視線で渚が見つめていた。
「2人共、琉くん似で良かったね」
そう言って、睨むように目を細めて愛里咲を見る渚。
「ちょっと渚⁉︎ そりゃ、私もそう思うけど…」
少し膨れてそう言う愛里咲。
「そうだな。愛里咲に似なくて良かったな」
「琉ちゃんまで⁉︎ 酷い〜」
口端をニッと上げてそう言う琉。
琉を振り返り、眉を吊り上げる愛里咲。
そんな2人の様子を、渚は睨むように見ている。
(……琉の事が好きなんだ)
鈍感な翔にも気付くくらい分かりやすい渚の態度。
これから巻き起こる出来事を予感してか、
少しだけ、翔の心が騒いだ。