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第4章 俺は琉じゃないよ?
「あ、ごめん。話が暗くなった」

隣を歩く翔の手に、渚の手が触れる直前、

翔はクルッと振り返り、無理矢理な笑顔を見せる。


「いえ。ずっと一緒にいたら、離れるの淋しくて当然ですよ」

「……うん」

また少し暗くなった翔の顔に、

繋げなかった手に、

渚の心がズキズキと痛む。


「……あ、いや…ほら、愛里咲ちゃんの手料理美味いからさ、また冷めた飯に戻るのかぁって…」

「私が作ってあげましょうか?」


気付けば、そう言っていた。

翔の口から、愛里咲の…いや、他のどんな女の名前が出るのも嫌だった。


「え?」

驚く翔を見据え、渚は深呼吸する。

そして、


「……私、夏川さんが好きです」


見つめるだけの恋はやめる。

琉を見つめるしか出来なかった事、たくさん後悔した。

だから、次の恋は絶対に気持ちを告げようと決めていた。


なのに、

翔から返ってきた言葉は、渚をドン底へと突き落とした。



「……俺は、琉じゃ…ないよ?」





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