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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第9章 玲奈~セクハラ常習犯に狙われた人妻
「まさか課長さんから誘われるとは思ってませんでしたが」

上級な日本酒をうまそうに舐めながら、男は満足げな笑みを浮かべた。

「課長さんっていうのはよしてもらえますか、柳田さん」

「これは妙なことを言われますな」

テーブルに並んだ懐石料理に、男は遠慮なく箸を伸ばす。

客もそれほど多くはない、高級居酒屋の個室。

男はすぐ目の前にいる人妻を鋭く見つめた。

「こちらは44にもなって未だに主任ですぜ。課長さんを尊敬するのは当然」

「それでもそんな言い方はやめていただきたいものですわ」

「では、何と呼びましょうか。そうだ、栗原さんがいいな」

「やめてください。それは」

玲奈は、柳田の提案に激しく抵抗した。

「栗原のものになって早何年だい? 栗原さんのどこが悪い?」

「・・・・・」

空になった男のお猪口に、玲奈は殊勝な態度で酒を注ぐ。

「旧姓で呼ばれるよりは、よほどいいだろうに」

「それは・・・・」

「決まりだ。じゃあ、今夜は奥さん、と呼ばせてもらうよ」

「・・・・・・・」

「あんたが栗原の所有物であることを俺も意識できる。どうだい?」

「好きになさってください」

玲奈はそれ以上、その話題にこだわろうとはしなかった。

とにかく今夜は、この男を心地よくさせる必要があるのだ。

「柳田さん、今夜は別に仕事の件でお呼びしたわけではありませんから」

「ほう、そうですか」

ゴルフ焼けした男の肌は、ぎらぎらと飢えたように光っている。

「一度、全てを忘れてこんな風に柳田さんとお話がしたかったんです」

「いったい何を?」

「ハラスメント相談課長になった挨拶をさせていただければ、と」

柳田を誘うように、玲奈も冷酒に軽く口をつけた。

「社内でも最もセクハラ行為が目立つ男に目を付けたわけか」

「いえ、40代半ばの社員の方と率直な情報交換がしたいだけですわ」

意味深に笑みを浮かべながら、玲奈は彼に酒を注いだ。

男は遠慮なく酒をあおり、人妻に答える。

「それなら旦那と話せばいいだろう」

「・・・・・・」

「違うかい、奥さん?」

柳田の試すような視線に、玲奈はしかし、動揺を見せない。

「いろいろな環境にいらっしゃる方に話を聞く必要がありますから」

僅かに笑みを浮かべる玲奈。

無言のまま、男は目の前の人妻の全身に視線を注ぐ。
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