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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第9章 玲奈~セクハラ常習犯に狙われた人妻
「わかったわね、矢島君」

息が詰まりそうに狭い空間で、矢島は玲奈の言葉を思い出している。

目の前には小さなモニター画面がある。

小さいとはいえ、カラーで相当に鮮明な映像だ。

「このカラオケ店には防犯カメラが設置されているわ」

あの夜、ここに足を運んだ際に、玲奈は矢島にそう説明した。

「全ルームに設置されているわ。ほら、あれよ」

玲奈が指差した天井の片隅には、カメラに見えなくもない小型機器が設置されていた。

「あれがカメラなんですか?」

「店の人は別に見てなんかいないけどね」

「そうでしょうね」

「何かトラブルがあったときにだけ、確認することがあるらしいけど」

玲奈の考えがわかった気がした。

玲奈が店の責任者と交渉をする際にも、矢島は同席した。

そして、「計画」が練られた。

「でも、玲奈さん、大丈夫ですか」

「何が?」

「明らかにこちらが誘い込んでますけど」

「こちらの行為にはどこにもハラスメントの要素はないわ」

「そりゃそうですけど、彼に勘付かれるような気がします」

「そこは賭けよね」

「賭け?」

「そんな状況でも、あの男は絶対にハラスメント行為をするわ」

「しかし、何も玲奈さんがそのおとりにならなくても」

「いい、矢島君、ここからが大事だからね」

今夜、直前の打ち合わせで玲奈が見せたきつい表情を、矢島は思い出す。

「彼に私が何をされても決して止めないこと」

「モニターを黙って見てろって言うんですか?」

「決定的な証拠を録画するため、私はぎりぎりまで彼を誘い込むわ。それを邪魔しないで」

「でも、玲奈さんの身にもしも危険が」

部下の危惧を、玲奈は軽く笑いとばした。

「大丈夫よ。本当に危なくなったら、すぐに自分でドアを開けるから」

「ほんとに大丈夫ですか?」

「こんな汚いおとり捜査でもしない限り、あの男は永遠につかまらないわ」

矢島は、既に1時間以上も目の前の画面にくぎ付けになっている。

店から特別に与えられた個室に、彼はずっとこもっていた。

「遅いな・・・・。来るのかな、ほんとに・・・・・・・」

玲奈がここに来てほしいような、ほしくないような、そんな気分だった。

そのときだった。

「あっ・・・・・・」

画面の中のカラオケルームに、2人の男女が姿を見せた。
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