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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第22章 佳織〜夫の知らない妻
猛烈な風雨の中、芳彦は妻の肢体を抱えるように歩いた。

時折顔を覗かせる岩肌で、妻が力尽きたように足を滑らせる。

「佳織、頑張って」

木々を縫って歩き続ける二人に、容赦無く雷鳴が襲う。

「あなた・・・・」

至近距離に落雷しているのだろうか、雷鳴と閃光がほぼ同時に周囲を包む。

ぐっしょりと濡れた妻を抱きしめ、芳彦は確実に前進を続けた。

やがて、小屋がはっきりと見えてきた。

小さいが、案外と作りはしっかりしているようだ。

「佳織、着いたぞ」

木製のドアを強引に開き、二人は中に飛び込んだ。

「助かった・・・・」

暗闇の中、芳彦は大きく息を吐いた。

二人でも窮屈になりそうな狭さだが、壁に密着する形で小さな椅子が備わっている。

「佳織、そこに座って」

ハアハアと息を乱しながら、佳織はどうにかそこに座り、安堵の表情を浮かべた。

「助かったのかしら・・・」

「ここなら雨漏れもなさそうだ。嵐が収まるまでここにいればいい」

「もう駄目かと思ったわ・・・」

「こんなに荒れるなんて想像してなかったよ」

背中のかばんもすっかり濡れてしまっている。

芳彦は小さなタオルを出し、妻に差し出した。

「少し濡れてるけど」

「ありがとう」

肌に貼り付くほどに濡れたシャツが、妻の肉体をくっきりと浮かび上がらせている。

シャツの下には、ブラに包まれた妻の豊かな胸が透けて見えた。

「濡れちゃっただろう、シャツ」

「大丈夫よ。それよりあなた、今何時かしら」

時間の感覚が消え去っている。

芳彦は濡れた腕時計を見て驚いた。

「もう夜7時前だ。いったい何時間歩いていたんだろう」

「お昼からずっとね」

妻の口調には随分と落ち着きが感じられるようになった。

「佳織、電波が届かない」

芳彦はスマホの画面を妻に見せた。

「宿の皆さん、心配してるわ、きっと」

少しずつ暗闇に目が慣れてきた。

狭い空間の端には、古い木材が無造作に積み上げられているだけだ。

「林業で使っている小屋かな」

芳彦は椅子に座る妻にそっと手をかけた。

「あなた、私は大丈夫よ」

そのときだった。

はるか彼方から雷鳴とは違う不気味な音が聞こえてきた。

「あなた・・・」

佳織が芳彦の腕を握った。

「土砂崩れかもしれない」

二人にとって、長い夜が始まろうとしていた。
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