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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第23章 瑞季〜写真教室での出会い
「乾杯しましょうか」

「はい」

駅近くの居酒屋に誘われた人妻は、久しぶりに浸る昂りと共にグラスを鳴らした。

夕刻の店内は、会社員風の男女で席が埋まっている。

「瑞季さん、お酒は飲まれるんですか?」

「働いていた頃はたまに飲んでたんですが、最近はもう」

「ご主人と一緒にお酒を楽しんだりとか」

彼の言葉が、人妻を現実の世界に引き戻す。

せめて今だけは、夫を忘れ、ここにいる彼との時間を楽しみたい。

「すみません、変なことを聞いてしまって」

「いいんです」

無理な笑みを浮かべる若い人妻に対し、彼は穏やかな視線を注いだ。

「今夜は現実を忘れて二人で楽しみましょうか」

「嬉しいです、瀬田さん」

アルコールと一緒に、二人は海鮮物が中心の食事を時間をかけて楽しんだ。

もっと彼のことが知りたい。

彼の左手の薬指に指輪が光っている事実に、瑞季は既に気づいている。

こんな風に一緒にお酒を飲んでいて、彼に迷惑がかかることはないのだろうか。

背徳な行為はどこかで踏みとどまらないと・・・・

人妻としての理性は、しかし瑞季の体奥で確かに揺らぎ始めている。

「瀬田さん、聞いてもいいですか」

レモンサワーの冷たいグラスを撫でながら、人妻は彼に視線を投げた。

「プライベートなことを聞きたい。そうでしょう」

「どうしてわかったんでしょう」

「瑞季さんの顔にそう書いてありますよ」

ビールを重ねている彼は、しかしまるで酔った雰囲気も見せず、笑みを浮かべた。

迷うような素振りを見せた後、彼は口を開いた。

「今年58歳になります。もっと老けて見えるでしょう」

「正直に言っていいですか?」

「何を言われるんだろう。覚悟しておかないと」

ふざけた風に言葉を続ける彼に、人妻はまた別の魅力を見出してしまう。

「最初はそれくらいかなって思ったんですが。でも時間が経つにつれて、もっとお若いのかなって」

「どうしてだろう」

「だって、瀬田さん、とても若々しいから」

「それは素直に受け止めていいのかな」

「もちろんです」

照れたように表情を崩した彼を見つめ、人妻はさりげなく質問を続けた。

「ご家族はいらっしゃるんですよね」

瑞季の視線が指輪に注がれていることに気づきながら、瀬田が答えを返した。

「妻は昨年亡くなったんです。病気が発覚してすぐでした」
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