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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第4章 弘子~主婦一人旅での出来事
初めての北海道だ。

特に理由はないが、弘子は迷うことなく札幌を一人旅の目的地と決めた。

北海道の空気は違うと、以前知人に聞いたことがあったせいかもしれない。

弘子は一人になり、新鮮な空気をたっぷりと満喫したい気分だった。

朝一番のフライトで千歳空港に到着した。

1泊という短い旅行である。

ガイドブックに誘われるように、羊が丘展望台にまず足を運んだ。

札幌は快晴だったが、想像以上に暑かった。

「東京より暑いんじゃないかしら」

弘子はどこかおかしいような気分になりながら、ゆっくりと風景を楽しんだ。

空がどこまでも青く、空気はやはりおいしい。

春を終えて、木々の緑が濃さを増している。

眩しい自然と快適な都会が理想的に混在している空間。

僅か数時間で、弘子はこの街が好きになった。

昼食は街角のラーメン店で札幌ラーメンを食した。

都会のどんな店よりもおいしかった。

そして何よりも、一人で歩くことが弘子には楽しかった。

誰にも気兼ねすることなく、行きたいときに行きたい場所にいけばいいのだ。

そんな当たり前の行動を、結婚してからずっと忘れていた。

弘子は新鮮な自分を取り戻しつつあった。

市内に戻り、午後は大通公園周辺をのんびりと散策した。

雑貨屋を巡り、地元の市場を覗いてみた。

「少し休憩しようかしら」

オープンテラスの洒落たカフェが弘子の目に留まる。

街並みをのんびりと眺められる屋外の席に着き、弘子はメニューを見る。

「せっかく一人で旅行に来てるんだから。たまにはいいわよね」

弘子は、汗ばむ陽気に誘われるように、生ビールを頼んだ。

昼間から屋外でそんな風にビールを飲むなんて、いったいいつ以来だろう。

確かな幸せを感じながらグラスを手にしたとき、弘子の背後から声がかかった。

男性の声だった。
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