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第4章 蘇る本能

　
「ん…ふぅぅ……」

　クチュクチュと艶めかしい水音に、甘く鼻が鳴る。

　指先が舌を挟んで捻りを加えれば、当時と同じように瞳がギュッと閉じて更に呼吸が荒くなる。


…こんな…アタシ……
もう……こんな事しないって………


　男張りに口調を荒くさせ、女の悦びを忘れようとしていた。

　忘れていた筈だった。

　しかし、武彦に因って呼び起こされた感覚は、しっかりと杏子の悦ばせ方を覚えていた。

　次第に大きくなる艶めかしい水音に、右手ばかりか左手までが動き始めた。

「うあ…ぁあぁ………」

　キャミソールの上から、左胸を持ち上げるように左手がギュッと掴む。

　杏子の掌に収まりきらない胸から、甘美な刺激が脳に伝わる。

　武彦に掴まれた刺激も蘇り、右手の指に舌を絡めたクチから甘い声が洩れる。


…アタシ……これじゃ……
また………昔に………


　淫らな女に戻りかけていく事を危惧する頭。

　しかし、一度感じた甘い刺激に、胸を掴んだ左手は柔肉を捏ね始めていた。

「んはぁ…はぁ………」

　肌にキャミソールを張り付かせながらグニュグニュと揉み拉けば、舌の動きも更に激しさを増す。

　小さなクチを大きく開き、舌を絡める右手の指と胸を揉む左手に武彦の感触を思い出しては、熱い吐息を吐き出していった。