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half. ~Sweet blood~
第12章 幸せは、誰にでも…



昂は園の仕事をやめ引っ越した。引っ越し先も言わないまま…その時頭に浮かんだ《血をもらった》んだと。痛みが分かる昂ならルシアもきっと、幸せって分かるんじゃないか…俺はしてやれなかったけど。


達希が戻ってきた事はメールで伝えた。
返事は短く「いつか会えたらいいな」と。あの日あの時、救えなかったと後悔している様子はなく、前向きだった。


昂や俺がこう思えるようになったのも、ルシアと出会い過ごしてきたから。




「前一緒にいた男の子って…昂の…」


「あーそうそう、今は二人でいるよ」


「そうなんだ」



きっと達希は俺に友達以上の気持ちを持っている、見てればなんとなく分かる。でも、忘れられないんだって…今でも鮮明に思い出せるんだから。公園に居た時のルシアを…



また中途半端。
達希の気持ちに気づきながら
何もできずに隠すようにして
未だルシアを想う。




「ユキチャン、俺…ユキチャンが好きだよ」


「知ってる」


「友達の意味じゃないよ」


「あぁ、それも知ってる」



手を引かれ寝室に誘われる。
何をするかなんて、子供じゃないんだ。分かるに決まってんだろ。心ではルシアを想いながら、達希を拒否せず誘いに乗るんだ。



「俺、最低な人間だけど」


「違うよ、ユキチャンは優しすぎるんだって」


「分かってんなら…」


「分かってても、止まらない時ってあるよ。今ユキチャンが誰かを想いながら俺としても、俺責めないし…むしろ責める理由もない。」


「何でだよ」


「俺の心には父さんが生き続けてる。俺も心では父さんを想いながら、ユキチャンに抱かれるんだから」




達希の気持ち。
それは身体が覚えていた事を、止められない。だから…白瀬の変わりに抱いて欲しい。そういう事だ…




「俺はね…今ユキチャンとしたいんだ。ユキチャンが誰を想ってても…実らない事なら、俺が変わりでもいいよ」




誘われるまま、ベッドに倒れ込む。
ゴチャゴチャする頭を整理する訳じゃない…もういっそ流されてしまえば、楽なんだろう。今目の前にいるのは、身体を火照らせ服を脱ぎ俺に跨がる達希。




「達希、ごめんな」


「ううん…あの時来てくれたお礼。俺でユキチャンが楽になるんなら、いつでも相手なるからね」



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