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half. ~Sweet blood~
第11章 主か、家族か…



むせかえるような甘い香りに包まれ、何度も耳元で囁かれた《すき》。家族になると言った昂は隣で寝ている。


分かんねー。家族って何だよ…
俺はhalfだぞ?
quarterになってもいい?
分かって言ってんのか…



「るし…あ…?寝ないのかよ?」



瞼を擦り大きな体で抱き寄せる。
その茶色の瞳には迷いはない。
髪をかき揚げじっと見つめられた…



「夜は基本寝ないんだよ」



「全く?」



「いや、疲れてたら寝る」



「物足りなかった?」



「言ってろよ」



「ルシア、好きだから」




まただ、この甘い香り。
これが俺を俺じゃなくさせるんだ。
若干変わった昂の香り…
それは思考が麻痺するくらい強く
自ら求めてしまいそうになる。




気付けば抱き付いたまま寝息をたてていた。



「こいつまじ危険だし」



マスクを手に取り二重にするも、全くといっていい程効力が発揮されない。終始鼻腔をくすぐる香りから逃げるように、ベランダに出た。


日付が変わったというのに…
純人間は元気なんだな。


ネオンが煌びやかに街を彩る。
着飾った女性にスーツの男性…
時折通る警察官…
通りにはタクシーが並び…
止むことのない会話…



そんな風景をルシアは何を思って見つめるのか。




「あいつら幸せなのか」



売られたhalfは幸せになんてならない。高額の値がつけられ売られて行く先には…明るい光など無いに等しい。そもそも《幸せ》とは何かなんて教えられてない…心を閉ざしたhalfたちは幸せになったらいけないのか…



分かんねー。
幸せって、家族って…何だよ。



「すき…ね…」



フードで被われた顔、口元は少し…
ほんの僅かだが、口角が上がってみえた。






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