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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱

 麻人の熱が下がり、本来なら喜ぶべきところなのはわかっているのだけれど。
 心配していた分、こうもあっさり平熱に戻られると、なんだか気が抜けてしまう。
 私は麻人にコップを手渡した。喉は渇いていたらしく、いっきに全部飲み干した。私も自分の分を飲み干し、ぷはぁと息を吐いた。

「……友梨香さん飲み方おっさんみたいです」
「うっさい。喉渇いてたの!」

 私は麻人の持つコップを取り上げ、私のと一緒にテーブルに置いた。

「友梨香さん」

 名前を呼ばれ振り返る。

「いろいろ……、すみませんでした。あとありがとうございました」
「何? そんなあらたまって」
「いや、熱出して迷惑かけちゃったし……」

 麻人にしては珍しく、しおらしい。

「そうね。いきなり熱出されるし、帰ってきたらインフル並みに上がってるし、そんな状態で襲ってくるし、終わったら終わったでベッドに拘束されて動けないし、散々な一日だったわ」
「……わーお。お疲れ様です」
「他人ごとみたいに言うな」
「でも俺、拘束とかしてなくないすか?」
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