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可愛いヒモの育て方。
第7章 露天風呂へ

 立ち上がろうとしても、足に力が入らない。というより力を入れられなかった。下半身に変に力を入れたら、あそこが締まってオモチャの振動をより強く感じてしまうと、学んだから。
 しゃがんだまま顔を伏せ、オモチャの振動に必死で耐えていると、ふいに麻人も視線を合わせるようにしゃがみこんできた。
 私の顔を覗きこむように見てくる。

「……ほんと、友梨香さんて意地っぱりですよねー。もっといじめてほしいんですか?」

 顔を伏せていたため、どんな表情で麻人がそう言ったのかはわからなかった。からかいを含んだその声は、なんだかいつも以上に、優しく響いた。
 麻人が立ち上がり、振動が止まる。スイッチを切ってくれたのだと、ぼんやりと理解する。
 眼前に、すっと手を差し伸べられた。

「ほら、旅館戻りますよー。ほんとに風邪引く」

 弾んだ息を必死に抑え、麻人の手を掴んで立ち上がる。
 麻人はそれきり、オモチャを振動させたりはしなかった。再び手を引かれて旅館まで歩きながら、リモコンを渡してくれる。

「……最近麻人、なんかSっ気出てきた。生意気に」

 体の火照りを静めつつそうぼやく私に、麻人は隣で肩を揺らしてしばらく笑っていた。
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