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第8章 芽生え

　麻人がゆっくりと、腰を動かし始める。
　突き抜ける快感に身を任せていると、ふいに思い当たった。一体何が変わったのか。
　何かが昔と違う気がしていた。麻人が私に触れてくる頻度だ。行為中も、前戯や終わったあとも、髪や頬や唇に触れてくる頻度が、増えた。最初の頃は、私が誘って始めて、終わったあともあっさりしていた。特にお互いの体に触れ合うことはなかったのに。
　同時に、自分はどうだろうかと思い返す。麻人に触れる頻度は、上がっているのだろうか。

「あ……っ、あん」

　最奥を突かれ、ひときわ甘い声が洩れる。麻人は首や鎖骨、胸、私の体のあちこちに、手や舌で愛撫をくれた。
　舌と手で胸元を撫でられた時、二度めの絶頂の波が来た。

「あ……イクっ」
「……っ、すげー締まる……」

　私は絶頂を迎えた。あそこが締まって、麻人を快感の波に引きずりこむ。麻人のがどくんと波打ち、私の中へと白濁を放った。そのまま私の隣にごろんと横になり、荒い呼吸をついた。
　私も天井を見上げながら、絶頂の余韻に浸っていた。果てたのは二回なのに、オモチャのせいか疲労感が半端ない。