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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢

 いつもイライラしていた。マサルと別れてからも好きな人はできたし、恋人だっていた。だけど、白々しい愛の言葉を囁かれるたびに、マサルの言葉がちらつくようになった。
 不安だったから手を繋いで、泊まりきりで彼氏のそばにいても、離れると寂しい。無性に不安で仕方なくなる。彼氏に依存して、必死になる自分も嫌だったし、しだいにそういう感情を抱くこと自体が面倒くさくなった。
 どうしてもヤりたい時は、ネットで知り合った男を誘った。セックスが楽しいのは本当だ。だけどイライラはおさまらなかった。あっちだってヤりたいだけのくせに、可愛いとか、魅力的だとか、白々しくて甘ったるい睦言を吐き散らかして、恋人を気取ろうとする。そういうのがうざい。だからみんな一度きりだった。
 年を重ねたせいもあるのかもしれない。恋愛とセックスを、分けて考えるのが得意になった。セックスなんて、ただのスポーツでしょ。そう思ったら楽になった。
 麻人も私と同じような考え方をしてると思ってた。だから楽なんだと。麻人の前では女を飾らなくていいし、余分な恋人ごっこもしなくていい。
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