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可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し

 手際の良さは相変わらず。

「あとは夜のお相手だけね」
「そんな仕事、普通の家政婦にはありません」

 即座にそう返され、私は爆笑した。
 ドライヤーで髪を乾かしながら麻人の後ろ姿を眺めていると、ふいに彩乃の言葉が脳裏に蘇った。
 ――麻人くんと恋愛すればいいのに。

「ねえ麻人」
「なんすか」

 ゴミ箱の袋を取り替えながら、麻人が私を振り向く。

「麻人は、なんで彼女作んないの? 恋愛面倒なんでしょ? なんで面倒なん?」
「どうしたんすか? いきなり。友梨香さんだって彼氏作んないじゃん。なんで?」
「こっちが質問してんの」

 麻人の切り返しを、すぱっと切る。麻人は軽く首をかしげて、止めていた手を再開し、溜まったゴミ袋を縛った。
 シカトか、こら。

「求められるの、重いじゃないっすか」
「重い?」
「今まで付き合った彼女、みんなそんな感じだったんで。毎日会いたい会いたいうるさいし、連絡すぐ返さないと怒るし、友達との約束があっても、彼女優先させないと泣くし。女の子と話すとキレるし。毎日好きって言わないと、不安がるし」
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