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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存

 麻人は一度言葉を切り、何かを思い出すように、顔をあげた。

「その頃から、徐々に母親様子が変になっちゃったんすよ」
「変?」
「俺は最初気付かなかったんですけど。姉の話だと、父親と電話したあと泣き出したり、父が写ってる写真を全部どこかにやっちゃったり。姉ちゃんがよく母親の相手してたから、愚痴なりなんなり聞いていたんだと思います」
「でも、それくらいなら普通にあることなんじゃ……」

 そりゃ、ずっと一緒に住んでた旦那が単身赴任でなかなか会えなくなったら、寂しくもなるだろう。その環境に慣れるまでは特に。電話のあとで感極まって泣いてしまったり、旦那の写真を見るのが辛くて、目の届かない場所にしまおうと考えたとしても、不思議ではない。

「はい。俺もそう思ってました。姉ちゃんに母親の様子を聞いた時も、まあ、父さんがいなくて寂しいんだろうなーくらいにしか。父が家にいない生活に慣れれば、母さんも落ち着くと思ってました。だけど、だんだん俺にも、目に見えて母さんの異変がわかるようになってきちゃって」
「異変?」
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