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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存

「……はい」

 少しの間のあと、麻人はそう一言だけ。頭を抱きしめたままだったのもあり、麻人の表情はわからなかった。だけどわずかに、声が震えていた気がした。

「友梨香さんは、なんでそんな親切なんすか?」
「え?」
「こんな頻繁に家に来られたら、普通面倒くさくなるでしょ?」
「それ結構前からじゃん。ヤらせてくれるなら、面倒くさくてもいいよ」
「……痴女。家の話だって、聞いてて楽しくもないでしょ?」
「ただの興味本位」
「それで泣く?」
「……うるせ」

 麻人を好きだから。どれほど理由を探れど、自分の気持ちに気付いてしまえば結局それに尽きる気がする。麻人はまた、隣で笑った。
 ふと思う。誰かのために泣いたのは、それこそ何年かぶりかもしれない。
 これも同情の類なのだろうか。もやもやとした、上手く言葉にできない憤りにも似た何か。私は麻人に何かをしてあげたかった。今の自分にできることは、話を聞いてあげることのみ。それが一番もどかしい。
 私は麻人の髪を撫でた。いつものさらさらとした感触が、今はない。

「……髪、乾かしなよ。また風邪引くよ?」
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