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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客

 私は彩乃に、空いている駐車スペースに車を停めるよう誘導した。私の住むアパートには何部屋か飽きがあり、駐車場も部屋によって使っていい場所が決まっている。麻人もいつも、飽きスペースの決まった場所に車を停めていた。

「よく家まで来れたね。連絡もなしで珍しい」
「いつも友梨香にはファミレスまで来てもらってるし、たまにはね。前来たことあったじゃない」
「前って……もう一年以上経つじゃん!」

 彩乃はバッグの他に、コンビニの袋を持っていた。ちらりと見えたが、酒とお菓子っぽい。さらにもう一つ、何か土産らしき袋を提げていた。

「何時から待ってたの?」
「さっき来たとこ。そんなに待ってないわ」
「本当かよ。あんなとこに車停めてたら、不審者と間違われて通報されるよ」

 私は苦笑した。彩乃も隣で笑みを零す。
 アパートの鍵を開け、彩乃を部屋に招き入れながら、彩乃が私のうちまで来た理由を考えた。またマサルのことだろうか。彩乃の考えは、時々わからない。

「部屋、汚すぎじゃない?」
「仕方ないじゃございませんの。専属のヒモが、お暇を取ってますのよ。まったく、部屋を片付ける人がいなくて不自由してますの!」
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