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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱

 そして夕方。ようやく店から解放されたのは、まさかの五時すぎだった。
 客が本社に接客態度が悪いとクレームを入れ、店長が客の電話番号を聞き出し、謝りの電話をし、同時進行で部長がキレ、マネージャーまで来ることになり、ようやく今に至る。
 私は車に乗り込むなり、麻人に電話をかけた。一回のメール以外、連絡を取っている暇もなかったのだ。
 麻人は、なかなか出ない。ようやく出たと思ったら、留守番電話サービスだった。
 何度かかけたが、同じ。私は不安になり、コンビニでスポーツ飲料や薬、お粥などを買って、急いでアパートへと戻った。
 ドアの鍵は閉めたので、チャイムを鳴らす。麻人が出てくる気配はなかった。嫌な予感がし、自分で鍵を開け、中へと入った。

「麻人ー! 無事!?」

 部屋に飛び込んだ瞬間、ベッドの前で座りこむ麻人の姿が見えた。

「麻人……っ」

 慌ててかけより体を支える。

「何してんの……!?」
「何って……、チャイム鳴ったから出ようとしたんすけど、力が入んなくて……」

 顔色を見て驚いた。麻人の顔は真っ赤だった。
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