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主な君に逆らえない
第3章 甘いのはお好きですか?
「はい・・目・・隠したままでいいから、アーンして」

私の脳内が急速に混乱して、回転します

あーん?・・・

あーんとは・・あのアーンでしょうか?

私が口を開けて・・食べ物を入れてくださる・・あのアーンのことで間違いないのでしょうか?

でも・・お口に入れてくださるものが、さくらんぼではない別の何かかもしれませんよね?

とてもこの方にアーンをするわけにはいきませんよね!?


「ほら、咲・・あーん」

優しい声色に・・私・・毒されたのかもしれません

「あーん」

脳内をかけ巡った思考なんてなかったかのように、容易く彼に口を開いてしまいました

張りのある甘酸っぱい味が私の口内を満たしてくれます

こくんっと飲み込む頃には無意識に顔を覆っていた手は口元に移動していました

美味しい!・・・

みずみずしい潤いを保った甘酸っぱい果肉は私の心を解していくようです

「まだいる?」

さくらんぼの茎を持った彼が、優しい眼差しで首を傾けました

なんの躊躇もなく、首を縦に振ります

「とても美味しいです!まだ頂きたいです」

指で受け取ろうと手をさくらんぼに伸ばすと彼の首が左右に揺れました

「あーん」

言われるがまま、私は口を開けました

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