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主な君に逆らえない
第3章 甘いのはお好きですか?
濡れたままで、何も身につけていない私

部屋に戻る手前でタオルが置かれていることに気付きました

身体に巻き付け室内に一歩入りました

「もういいの?」

先ほどと寸分も変わらない容姿でゆったり一人がけソファでカップを傾けた彼が声だけで問いかけてきました

「はい・・・ありがとうございます」

御礼を申し上げるべきか一瞬迷いました

「こっちきて」

ああやっぱり

どんなに優しく微笑んで接しようとなさっていても彼はやはり彼なのです

私は次に自分に起こるであろう出来事を覚悟しながら、逃げ場のない船上で諦めて彼の元に向かいました

「ちゃんと拭かないと冷えるだろ?」

ブオーっと音と温風が髪に吹き付けられ、予想外すぎる出来事に私・・・固まってしまいました

先ほどの覚悟を返していただきたいです

優しい手つきで一房づつ私の肩くらいまでの髪を乾かしてくださっています

なんだか・・とても・・気持ちがいいです

首に時折当たる温風にぞくりとしてしまいます

「咲は首が弱いよね」

ふぅっと冷えた息を吹きかけられ、背中が反ってしまうほどぞくりとしました

「あと耳の裏も」

チュッと音を立てた彼の唇が私の耳を支配します

カァッと顔に熱を感じました

「咲・・可愛い」

腰にどくんっと大量の血液が流れたような感覚を覚えました

ほぼ乾いた髪に指とコームが交互に梳いていきます

今日はこういう弄び方なのでしょうね・・・

私をドギマギさせて、気持ちを高揚させようとそういう魂胆なのです・・きっと


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