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毒舌
第10章 琴美とおりょう
私の気持ちとは関係なく
トビは
私に
鼻を擦り付けた。
睨んでくるのに
それさえも可愛い。
あれ、
トビが可愛いとか
何の冗談?
夢の中の私が
トビを誘うように
腕を伸ばすと
トビは
切ない目をして言った。
「まだ生きる気にはならねえか」
何の話だろ。
私は首を横に振った。
「この部屋を出たら私は生きる資格もないの。生きて自由にはなれないわ」
「俺が一緒でもか」
涙が溢れる。
何の話をしているのか
わからないのに
心はこんなにも苦しくて
トビの気持ちが
伝わってくる。
なのに
どうして
夢の私は
そんな簡単に
笑って言えるの。
「貴方に食べられてしまいたい。骨の髄まで残さず、貴方なら」