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毒舌
第16章 試してみない?
優しくて
甘くて
どこまでも深くて
私を翻弄する大人のキス、
そっと離れた時に
香島さんの指先が
くちゅりと音をたてた。
「っぁあん…」
「すごいとろとろになってるよ。俺に感じてくれたの」
耳を舐めながら
香島さんは
確かめるように
するすると入ってきて
まだ私を乱そうと
指を動かしてきた。
「すげぇ嬉し……」
香島さんの腕に
しがみつく形で
なるべく喘ぎ声なんか
あげないように
私は静かに
口を開いた。
「香島さんのキス、上手すぎです。気持ち良くて、変になりそう」
息があがって
体が疼いて
涙腺が弛むけれど、
言わなきゃならない言葉を
私は吐き出した。
「でも。
――トビじゃないんです」
また涙が
一滴流れて
香島さんの動きが止まる。
「……俺は、トビの代わりでいいよ」
「代わりになんて、誰もなれないんです。香島さんのキスはすごく気持ちがいいけど、トビのキスは魂が抜けそうになる。蝕んで離さない猛毒みたいに広がるの」