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第25章 大禍時/前編

季節は変わっていた。

おりょうの中へ
封印されて以来
しばらく意識がなかったが

再び目を覚ました時

おりょうは
見知らぬ男の
妻になっていた。


「おりょう。庭の花が見事だよ。お前も来て見てごらん」


男の直衣は
禁色であるはずの
深紫をあしらったもの、

どこのどいつか知らねえが

それなりの役職につく
貴族のようだった。


「庭ならいつもひとりでみております」


おりょうが
素っ気なく返事をすると
男は苦笑した。