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毒舌
第25章 大禍時/前編
おりょうが
何を思っていたかは
わからない。
感情らしい感情も
見られなかった。
それは
どうやら俺だけではなく
この男も
同様に感じていたようだった。
情事の後
おりょうの肌を撫でながら
男は気難しい顔をすると
こんな話を始めた。
「俺は長く都に暮らしてきたが妖怪などみたこともない」
それもそのはずだ。
俺たち妖怪は
本来人間になど
興味はない。
人間相手に悪さを好むのは
せいぜい下等な妖怪で、
それも
人気のない山奥に
ひとりでいるような
老人子供を狙う。