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第29章 年下の

痴漢なんて
そうそうしょっちゅう
いるものでもないしね、と

少し軽い気持ちでいた。

いざとなれば
逃げたり
捕らえたりだって
出来ると思ってた。


突然の違和感に
襲われた時に

そんな気持ちは
一瞬で消えてしまったの。


背後を

まるで背中を串刺しに
貫かれたように
仰け反って

息も声も
自分で思うように出来ない。

金縛りというには
どうにもおかしい。


なんで。

トビの声さえ
聞こえないのだろう。