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第5章 加速

貴方に対して
ではありません、

そんな意味を込めた睨みは

同時に
別の意味を持ってしまう。


じゃあ
誰に対してなんだと
言われたら

それはもう決まっている。


恥ずかしさが込み上げた。


「俺と付き合ってよ」

「絶対嫌」


軽くあしらって
車を降りた私は
すぐさまタクシーを止める。

香島さんは
慌てる様子もなく
悠然と私を見ていたけど

それもどうでもいい。