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第5章 加速

トビの反応を待って
じっと耐えていた私に

突然
予期せぬ感覚が走った。


「！」


驚いて
声を出しそうになり

慌てて口を押さえた。


（何、これ……！？）


唇にあたる
甘い感触。

さっき
香島さんに
舐められたように

見えない何かが
今も
艶かしく這う。


それは
口を閉じていても
関係なしに

口内までも
余すことなく襲ってくる、

深い深い口づけのようだ。