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第6章 あやかしとおりょう

風に乗って
忌々しい臭いが流れてくる。

奴が山へ入っていった。


自然と人里を分かつ
境界線の区域に

わざわざ
ぽつんと離れて
奴の屋敷はあった。


人間の中じゃあ
お偉いんだか知らねえが

てめえの留守中に
荒らされることは
予想すらしていなかったのか

随分無用心だぜ。


廊下は
女中どもの血に濡れ
あっという間に沈黙した。

爪に滴る
糞不味い紅を舐めて
俺はさらに奥へ。