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毒舌
第6章 あやかしとおりょう
「この部屋の札を見て。お父様が退治した妖怪の力を閉じ込めているの」
「くだらん。こんな紙切れにそんな大層な力はねぇよ」
妖怪の俺が触れても
何も起こらない。
俺が千切ってみせると
おりょうは困った顔をした。
「貴方は平気なのね。私が触れると火傷をするわ」
「……お前は人間なのに、か?」
腑に落ちない俺が言うと
おりょうは
俺の手の中に残る切れ端に
一瞬手を重ねた。
じゅ、と音をたて
肉の焼ける臭み
火傷を負ったてのひらを
開いて見せながら
おりょうは
自虐的に笑う。