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第4章 ヤキモチは偶然に

待ち疲れて寝てしまった部屋で、
夜中に目が覚めたらベッドの端に大川さんが座っていた。

「大川さん？」
「あ。ごめん。起しちゃった？」

小さな声で疲れた感じの大川さんは
左手で私のほほを撫でた。
ゆらゆらと紫煙が揺れている。

あ。たばこを吸ってる。
髪も・・・ボサボサだ。
大川さん・・・だ。

「陽菜。何も言わずに抱きしめてくれる？」

いつも俺様な感じの大川さんがやけに弱い。

大川さんがベッドサイドの灰皿にタバコを押し付けるのを待って私は起き上がった。
そして座っている大川さんを頭からすっぽり包み込むように抱きしめる。

「大丈夫。大丈夫だから。私がいるから、大丈夫だよ」

何が大丈夫かなんて分かるはずもないけど
今弱っている大川さんを、私が守ってあげたいと思った。

ゆっくりと大川さんの手が私の腰に回って
お互いがお互いを抱きしめ合う。

「ひな」

その声は、泣いているようにも聞こえて。

「大丈夫」

私は夜中にただひたすらその言葉を繰り返した。