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出会いは必然に
第5章 告白は偶然に
「んじゃ、たまには俺と食べに行くか?」
「山田のおごり?」
「おまえさ~。お前も稼いでんだろ?」
「はい。山田のおごり決定~。駅前の居酒屋でいいよね」

そう言いながら、夕飯のあてが出来たことにホッとして
急いで退社の用意をした。


「かんぱ~い」
ガチャリとジョッキを合わせてごくごくと生を喉に流しこむ。

「そういえば、山田、社内恋愛してるんだって?」
「まーね」

先日の社内報に載っていた事を思い出した。

「なに?あんなに社内嫌がってたじゃん。相手のアタックに押し切られた?」
「お前さぁ・・・もう少しオブラートに包めない?」
「包めない」

「アタックしてるのは俺。まだ本当に俺のものになってないよ・・・」
「山田がぁ?」
「俺、めちゃめちゃ惚れてるよ。」
「へ~」

「それより、半田、近頃急いで帰ってるだろ?今日は珍しいな」
「・・・・さすが経管。社員のこと何でも知ってんね」
「でも、ないけどな。仕事の虫だった、営業の半田さんが早く帰るのは
オトコか?って噂になってるから。同期として気になってただけ」

「まぁ・・・男に間違いはない・・・かな」
「マジで?半田、オトコ出来たの?」
「彼氏では・・・ない」
「ふ~ん。落としてる途中ってこと?夕飯作りに行ってるとか?」
「いやぁ・・・・夕飯作ってくれる」

「・・・・」
「・・・・」

「作って『あげる』じゃなくて『くれる』の?」
「うん」

山田がじっと私を見る。
「何よ?」
「半田が女子力低い事忘れてた。半田が夕飯作ったら
逆に落とせない。何もしない方が良い」

「だから、落とすとか落とさないの関係じゃないんだって」
「それなのに夕飯作って『くれる』の?」

山田は男の方が夕飯を作ることに興味を持ったみたいだった。
この話題は当分忘れてくれそうにない。



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