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執事とお嬢様の禁断の模様
第5章 繋がらぬ想い



 秀一が炭酸水の入ったグラスを持って、
怪訝な顔で私を見ていた。





「…あっ、ありがとう」




 私は思わず背筋を伸ばし、
手で置く場所を示した。



 秀一は静かにその場所に炭酸水を置く。



 グラスには氷と炭酸水が入っており、
ミントが更に清涼感を際立たせている。

 二酸化炭素の泡がはじけるのも、
目に心地いい。


 軽くその匂いをかぐと、
微かにレモンとミントの香りがした。



 落ち着く、この香り……



 深緑色のストローで軽くかき回すと、
氷がグラスに当たってカランと音を立てた。


 その澄んだ音に、
思わずほぅっとため息を吐く。


 コップに軽く触れると、
ひやりと冷たい感覚が手に伝わってきた。


 私はそれを、ストローを使ってゆっくりと飲む。


 さっきまで温かかった口内が、
冷たく刺激的なものによって冷やされてゆく。



 鼻に抜ける爽やかな香りと、微かに甘い、
はじけるものに心も体もうるおされていく気がした。




 ストローを口から離し、一息吐く。


 今度は続けてゆっくりと飲んだ。

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