この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
その場の雰囲気を悟った美桜がこれもまた戯れ言めいて言い。
「まっ、旦那ったら。あたしというものがありながら、この上、まだ若い娘を囲おうって算段なんですか?」
そのひと言に、小紅の悪寒はますます強くなる。やはり、肥前屋はそういうことを言おうとしていたのか。
刹那、小紅は見てしまった。美桜と肥前屋が素早く視線を交わし合っている。それはまさしく男女のそれ―慣れ親しんだ者同士にしか出せない親密さだった。
「まっ、旦那ったら。あたしというものがありながら、この上、まだ若い娘を囲おうって算段なんですか?」
そのひと言に、小紅の悪寒はますます強くなる。やはり、肥前屋はそういうことを言おうとしていたのか。
刹那、小紅は見てしまった。美桜と肥前屋が素早く視線を交わし合っている。それはまさしく男女のそれ―慣れ親しんだ者同士にしか出せない親密さだった。