この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
それからというもの、小紅は〝五〟のつく日には細心の注意を配った。正しくいえば、その日の夜に隣家の様子には耳目をそばだてた。やがて、幸か不幸か、小紅の予感は的中することになった。栄佐はそれからも十日後の二月二十五日にはやはり、深夜にそっと木戸口から抜け出していったのだ。むろん、帰りは明け方だ。
間違いない。栄佐は〝五〟のつく日の夜、どこかに出かけている。しかも行く先は同じ場所と考えて間違いはなさそうだ。
間違いない。栄佐は〝五〟のつく日の夜、どこかに出かけている。しかも行く先は同じ場所と考えて間違いはなさそうだ。