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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
恐らくは賭場に違いない。町外れの廃寺は誰もが気味悪がって日中でも迂闊には近寄らないものだ。そういう場所はまた大抵、良からぬ輩が眼を付け、賭場などの賭け事に使われることが多いのである。
栄佐は賭け事にでも填ってしまったのだろうか。小紅は落胆と失望に打ちひしがれながら、さて、どうしたものかと考える。賭け事というものは一種の快い毒だ。一度はしたがねを賭けて大金を儲けてしまうと、その醍醐味が忘れられず、つい何度でも賭けてしまう、
栄佐は賭け事にでも填ってしまったのだろうか。小紅は落胆と失望に打ちひしがれながら、さて、どうしたものかと考える。賭け事というものは一種の快い毒だ。一度はしたがねを賭けて大金を儲けてしまうと、その醍醐味が忘れられず、つい何度でも賭けてしまう、