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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第13章 第一部第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 龍馬という男
「小紅どのは既に言い交わした男がおるのか!」
「え? ええ。悩みの種というのは、その許婚者ですが」
 何故、龍馬が衝撃を受けているのかは判らないまま、小紅は頷き事情を続けていった。
 あらかたのなりゆきを話し終え、小紅は小さな息を吐き出した。龍馬の顔からは流石にいつもの笑みはかき消え、思案顔でしきりに考え込んでいる。
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