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第13章 第一部第三話【戀月桜～こいつきざくら～】　龍馬という男

　既にその萌芽はこの頃から兆していた。この時、江戸滞在中の龍馬は知り合いを訪ね旧交を温めていたのだが、その合間には宿の一室に引き籠もり、彼の思い描く理想の国家論を書き付けたり、船の模型を作ったりといずれ大きく花開くことになる彼の才能に磨きをかけていた。
　幕末を代表する武芸家・政治家、造船家、実業家、龍馬は様々な才能を発揮したが、彼の足跡は歴史上だけでなく、その三十二年という短い生涯の中で全国各地に残されている。