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第14章 第一部・第三話【戀月桜～こいつきざくら～】　熾火（おきび）

　だが、小紅は彼にこう言いたい。
　たとえ大部屋役者として芝居を続けたとしても、誇りを棄てることにはならない、と。大部屋役者は確かにその他大勢で、陽の光が当たることはない。けれど、その他大勢のひとりひとりもまた間違いなく芝居という一つの大きな作品をおりなすのにひと役買っているのであり、その他大勢がなくしては芝居は成り立たないともいえる。