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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第14章 第一部・第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 熾火(おきび)
「それでも構わない。私は死んだって良いの。好きな男が罪に手を染めて生きてくのを黙って見ているよりは、生命がけで止めて死んだ方が良い。お願いだから、あんな怖ろしいことは止めて、栄佐さん。あのお寺にある財宝がただのお宝じゃないってことくらいは私にも判る。あれは盗品かご禁制の品よね? あんなものを隠し持っていて、お上に見つからないと思うの? 万が一、見つかったら、大変なことになるわ。幾ら直接、売買に拘わっていないからといっても、あなたも罪に問われるのよ」
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