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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
「実はな、おきみさんの案配が良くない。熱も高いし、発疹もひろがってきた。何しろ、あの歳だ。衰弱が烈しくて、いけねえ。精のつく薬を処方はしても、もう薬湯を飲み下すだけの力もねえんだ。飲まず食わずで、薬もろくに飲めねえと来れば、後は弱る一方だ」
 小紅は脳天を何かで打たれたような衝撃を受けた。
「そんな。昨日はまだ、あんなに元気だったのに。私と色々話もしたし、持っていったお雑炊も美味しいって食べてくれたのよ?」
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